新燃岳

昭和44年に親友の吉沢君と九州一周の旅へ出掛けました。
リックを背負ってユースホステルを使用する学生旅行でした。
何が原因かは覚えていませんが、喧嘩をして私は路線バスを途中で降りてしまったのです。
バス停に『大浪池登山口』と有って、池まで50分と書かれていました。
一人で登って山頂の池を見て驚いたのです。
素晴らしい景観なのです。
そして韓国岳新燃岳が目の前に迫っているのです。
感動をする山容でした。
南には櫻島も見えます。
何とか下山をしたのは良いのですが、
霧島高原へ行くバスの本数がありません。
仕方なく歩き出したのですが、病気上がりの身には到底歩けません。
ヒッチハイクを試みて手を上げるのですが車は止まってくれません。
結局5キロの山道を歩きました。
クタクタでした。
霧島高原のバス停の方を見遣りますと、吉澤君が心配そうに此方を見ていたのです。
元気を回復さすために
「カキフライを喰え」とか「黒ビールを飲め」とか励ましてくれました。
その吉澤君も鬼籍の人と成りました。
新燃岳のニュースを見ますと、
あの当時の優しく介抱をしてくれた吉澤君を思い出します。