成人式

療養所に入っていた44年前の事だった。
闘病中の病院から一人で参加をした。
兄の古のスーツを来て、同室患者の革靴を借りて、
頭もクシでセットしてもらって、
門で写真を撮ってもらって、
患者さんや看護師さんに「おめでとう」と声を掛けられて、
会場へ行った。
手術が終わり春の退院へ向けて養生中であった。
復学の編入試験も無事に終わって、
学校へ行ける夢が叶った1月が懐かしく思い出される。
大勢の方に祝福をされて退院をし復学をして社会で頑張ってみたが、
期待に応える事が出来たのかとなると不安だ。
せっかく頂けた生命、
何とか恩返しがしたいと思いつつ、
もう後の時間が無くなって来た。