手料理

妻が実家へ帰っている。息子は卒業を前にして海外へ出掛けている。私が一人。誰もいない部屋に居るのは寂しいがまた少しの間を気楽さが手伝って結構なものだ。冷蔵庫の残りで夕食のおかずを作る。テレビも見たし眠たくなってきた。風呂に水を入れて、いい加減にお湯が沸いた。一人ノンビリと湯舟に身体をつける。鼻歌も飛び出てすこぶる気分が良い。あれー?、家に誰も居ないという事がこんなにも不安な気持ちにさすものなのだろうか。もし此処で気分が悪くなって倒れても誰も気が付いてはくれない。一人暮らして結構寂しくて不安なものなのだな。私の老後は息子がいて介護も葬式も納骨もしてくれるであろう。しかし一人暮らしであればそれらを誰が行ってくれるのかが不安な材料となってのしかかる。自分で作って自分が食べる、自分勝手にテレビを見ている、自分の好きなように日が暮れる、死んだら終わりだから葬式もお墓も要らないと言いながらも何か頑張って来た割にはあっけない幕切れで良いのだろうか。endよりandを願って、葬式後のlifeこそ心の豊かさに繋がるものと気付かされる。