祇園祭

当方は祇園祭の町内である。各鉾や山は豪華絢爛な飾りがなされ町内でも立派な家宝や屏風が公開されている。歩行者道路となった山鉾町は大勢の人が押し寄せ露店も賑わいを増してくる。駒型提灯に火が入りお囃子も佳境に入る。しかし一ヶ月間も神事が実行されている事を多くの人は知らない。たこ焼きを食べながら町を浴衣で歩くも良いが、路地で祭られるご神体に手を合わせる事こそ祭りである。若い人ならば恋の成就を願う事でも良いと思う。人を思う、自分を思う事の欠落をこの様な祭事が蘇らせてくれる。宗教離れ、道徳離れ、情愛離れば叫ばれて久しい。学校で教えなかったこれらの倫理教育が潜在する祭りの宵の佳境に接して日本人の情景を焼き付けていた。