彼岸の入り

母を見舞いに行った。
裏に在る寺へ行くと霊園が見渡せる。
家族連れの御参りの人も大勢来ておられる。
鐘楼の傍で母の車椅子を止めていると、
鐘を撞く人達が音が響くのを遠慮しておられる。
「どうぞ思い切り撞いてください、本人の耳は聴こえませんから」。
私は私で家族でのお墓参りを羨ましく思うし、
向こうは向こうで、長寿の親孝行のお世話を羨ましいと言う。
のどかなお寺の一時だった。