祖父の仏縁ある人を訪ねて

私の母は94歳で口も頭も元気である。この年寄りがかねがね私に願っている事は、若い頃に韓国で世話になった浄土真宗の住職との事を聞かされていた。私の祖父は出身の福井から田畑を処分をして一旗上げるために韓国の大田(儒城)へ渡った。成功をして、信仰の浄土真宗の教えを請うために日本から多くの僧侶(伝道者)を招いた。そのうちの一人が福山市在住の僧侶であった。私も幼少の頃からその住職様の名前を聞かされていたので今回は母の願いを叶える為に妻と二人で出掛けた。母が施設に入っているために自宅を家捜しをしてもその住職様の資料が出てくるわけが無かったがたまたま昭和54年に頂いた年賀状が頼りとなった。福山へ出掛けると直ぐお寺はわかった。事情を説明すると総出で歓待をしてくださって、先々代の書や御影や写真を出してきてくださった。昭和7年の韓国での記念写真も見せて下さったが残念ながら祖父の姿を見つけられなかった。先々代のお墓へお参りをさせていただき母に見せるために多くの写真を撮って帰った。先々代住職と祖父の交流の場面が思い出された。祖父は韓国から引き上げて別府へ移り住み、努力のかいあって事業を成功させた、私もその血を引いておりながら事業では成功もせずにいるが、浄土真宗の教えは他の親戚兄弟以上に体内を流れている。