お墓のお引越し

A地点からB地点への引っ越しは相当の覚悟を要します。
先代の慣れ親しんだ父祖の地を、今の主は離れて暮らすこの土地へ移したい気持ちも分かります。
昔から「スープも冷めない距離」と言われていて、住まいと墓地が近いほど墓参の回数も管理も行き渡ります。
しかし、田舎の墓地は広く、都会の墓地は狭いのです。
まして田舎では家宗旨に則して五輪塔と位牌墓が建てられていて豊穣です。
他方、都会は狭くて乱雑な墓地で到底一基しか建てられなくてなおかつ高額です。
余りお勧めできませんが、希望と有っては仕方が有りません。
であるならば、解体する旧墓石以上の価値を加えなければ逆行は許されません。
五輪塔以上の仏格なる墓石は無いのですが、
五輪塔と同じ意味合いを持たせた墓石を建てなければ意味が有りません。
墓石の頂部の白毫の部分に禅宗ですから『○(円相)』を刻んで釈尊の教えを迎えるのです。
ご本尊様のお釈迦様をお迎えしてこそ五輪塔の意味や価値が有るのです。
なおかつ、ご先祖様の戒名を、この御本尊様のお身体である仏塔へ刻んで同体同化させてこそ満足の行く完璧なる建墓移葬が叶うのです。
なおかつ、家宗旨の般若心経と観音経の写経奉納も行っていただきます。
決して、五輪塔を壊して建て直した墓石を『○○家之墓』などとしては絶対になりません。
建墓をお考えのお施主様にご指導を申し述べましたが、何処までご理解下さったのかは甚だ不安です。
世間の石材店や僧侶の正しきご指導の奮闘を切望しています。