納棺師

映画では、亡き人を木棺へ納める人として脚光を浴びた。
関西では葬儀社が一連の葬式の中で『湯灌』として勤められている。
お墓へご遺骨を納める事で一連のお葬式が終わりとなる。
目に見えた形が有り、重さがあったお骨箱も、納骨の儀で土へ還って行ってしまう。
最後のお別れとなる。
であれば、開眼式を厳粛に勤め上げても良いはずだ。
死者への思いが希薄に成った今の世は、何もかもが割愛されてしまった、
祀る心や感謝の思いまでもが。
墓前で、縁の有る人が集まって、全員の手でご遺骨を奉安して、
供養の為に写経を添えてお納めする。
墓地を酒と塩と米で清め、ロウソクや線香を焚き、散華の花びらを撒く。
正しき建墓をなす事こそ、亡き人に対する孝行であり、報恩の感謝ではないのだろうか。